目次
歯周組織再生療法とは

再生療法で使用される治療薬
リグロス
リグロスは近年、厚生労働省から認可を受けた治療薬です。
保険適用が可能なため、比較的安価に治療を受けることができます。
エムドゲイン
エムドゲインは20年以上にわたる臨床データがあり、高い治癒効果と低い手術合併症発生率が証明されています。
歯周組織再生療法のメリット
歯の機能と見た目の改善
失われた歯槽骨や歯周組織が再生されることで、歯の噛む力が回復します。これにより、食事がしやすくなります。
また、再生された歯茎にハリが戻り、笑顔を見せやすくなるなど、見た目にも良い影響を与えます。
日常生活の質の向上
歯周組織再生療法は、歯周病治療以外の目的でも使用されることがあります。
- 抜歯後にできた歯茎のくぼみを改善する場合
- かぶせ物を入れた箇所の見た目を整えたい場合
歯周組織再生療法のデメリット
費用が高額になる場合がある
保険適用が可能な治療法(GTR法やリグロス使用法)もありますが、複数の歯を治療する場合、総額として負担が大きくなることがあります。
保険外治療ではさらに高額になる場合もあるため、事前に費用について確認することをおすすめします。
適応できない症例がある
歯槽骨の破壊が広範囲に及んでいる場合や、歯周病が重度まで進行している場合には、歯周組織再生療法が適用されないことがあります。
また、治療後でも歯茎が完全に元の状態に戻るわけではないことを理解しておく必要があります。
外科手術に伴うリスク
歯周組織再生療法では歯茎を切開する外科的処置が必要なため、感染症や出血のリスクがあります。
さらに、高血圧や心疾患、糖尿病などの持病を持つ方は手術自体がリスクとなる場合があるため、事前に主治医と相談することが重要です。
歯周組織再生療法の流れ
歯周病と骨の状態の確認・治療説明
歯周ポケットの深さを測定し、レントゲンやCTで歯周病の進行度や骨の状態を確認します。
その後、術式や使用する薬剤、費用について説明を行い、同意を得られた場合に治療を開始します。
麻酔と歯茎の切開
局所麻酔を行い、歯茎を切開します。
麻酔が効いているため、処置中に痛みを感じることはありません。
ただし、基礎疾患を持つ方は手術が可能かどうかを事前に主治医と確認する必要があります。
歯の表面の清掃
薬剤を注入する箇所の汚れを徹底的に除去します。
プラークや歯石が残っていると治療効果が十分に発揮されないため、非常に重要な工程です。
組織誘導薬剤の注入
清掃が完了した箇所に、歯槽骨や歯周組織の再生を促進する薬剤を注入します。
縫合と経過観察
薬剤の注入後に切開部分を縫合します。
通常、1~2週間後に抜糸を行います。
手術後の注意点

手術後は麻酔が切れると痛みを感じることがありますが、処方される痛み止めを無理なく使用してください。
また、喫煙は治療効果を妨げるため、禁煙をしましょう。
骨や歯周組織の再生には半年から1年ほどの時間がかかります。
治療後も定期的に経過観察を行い、問題がないか確認することが大切です。
歯周病の重症化を防ぐために
丁寧な歯磨き習慣
歯磨きが不十分だと、歯周組織再生療法を受ける準備が整わないことがあります。
デンタルフロスや歯間ブラシを使い、歯と歯の間の汚れもしっかり除去しましょう。
定期的な歯科検診
日々のケアだけでは取り切れない歯垢や歯石は、定期的に歯科医院で除去してもらうことが重要です。
歯周病の進行を防ぐためにも、定期検診を欠かさないようにしましょう。
禁煙
タバコは歯周病の進行を早める大きな原因です。
治療効果を高め、口腔の健康を保つためにも禁煙をおすすめします。
健康的な生活習慣
適度な運動、ストレス管理、バランスの良い食生活など、全身の健康を維持することが歯周病予防にもつながります。
歯周病が進行すると、歯を支える「歯槽骨」が破壊されることがあります。一度失われた歯槽骨は、歯周病の治療が成功して歯茎が健康を取り戻しても、自然に元通りにはなりません。
これは歯槽骨そのものに再生能力がないわけではなく、歯茎の治癒能力が高いため、歯槽骨が再生するスペースが確保できなくなるからです。
歯周組織再生療法は、歯肉が歯槽骨の再生を妨げないように調整し、失われた歯槽骨の再生を促進する治療法です。
この治療により、進行した歯周病でも歯を抜かずに保存できる可能性が高まります。
ただし、この療法を行うには、まず歯周病の原因となる歯垢や歯石を取り除く「基本治療」を終えておく必要があります。
歯肉を健康な状態に戻さなければ、治療の効果を十分に発揮することが難しいためです。